色々考えたのですが、何を書いても話が長くなるし、この問題の根本的な認識の違いを理解しておかないと色々説明できなさそうなので、財政政策の面について書くこととしました。
財政政策・・・つまりは国のお金のお話ですね。
なお、専門的な話になると滅茶苦茶難しいし、ワタシもきちんと理解できないので、
実際の現状をデータのみを持ち出して、可能な限り簡単な内容にしました。
残念ながら、結局お金。。。
えっとですね・・・。当然の話ですが、何をするにしてもお金が要ります。
しかし、テレビ報道や政治番組でよく見るように、日本はお金がない状態で、毎年国債を発行し続け、国の抱える借金は大変な額になっています。
先日も、茂木幹事長が消費税減税するなら年金3割カットと言ってにわかに炎上しましたが、今、国の財政はそういう状態・・・・と、言われています。
国にお金がなく借金しないと国家運営ができない。
で、その借金を増やし続けると将来日本が破綻するので、プライマリーバランス黒字化(借金せず運営できるようにすること)しないといけない。
そこで、現在の自民党は緊縮財政路線と言い、あまりお金を使わない、減税をしない方針を打ち出しています。
色々投資をするようですが、骨太方針で金額を見ると、まぁショボい対策になっていました。
まず、現状を把握しましょう
日本国としての収入は、ザックリ言うと税金です。(あと、対外資産・国内資産から入る配当金や利息なども含まれます)
※配当金ってのは銀行利息とか家賃収入みたいなものです。今回の話は税収側のみでお話するので、こっちはちょっと横に置いておきます。
で、日本国の税収を上げるためには、「税金を国民から今より多くとる(増税/国民の収入減少)」か「日本国を成長させて、税収全体を引き上げる(経済成長/国民の収入増)」の2つの方法があります。
当然国民からすれば、後者が良いですよね?これ以上の増税は本当に嫌です。実際の所、世帯年収1000万円くらいのご家庭でも、子供を複数人育てるのがちょっとキツい状況になっています。
所得が高いと、その分税金が高くなるうえ、児童手当などがなくなり実質的に年収が数百万円下くらいの人と変わらないような支出が出てしまうからです。
住宅ローンとか抱えていると、なお大変ですよね。
ただ、この国の政治はこの方向(経済成長)で動いているハズなのですが・・・この30年間ほとんど成長していません。(れいわさんは25年と掲げていますね)
そのため、ジワジワと前者(増税)が進み、ワタシ達の所得は減り続けています。しかし、他国のGDPは成長を続け、所得は上がっています。
国別の初任給とか調べてみてください。日本の大卒初任給と、成長している国の大学初任給を比べると、中々衝撃的な差がありますよ。
※海外ではその分だけ物価も上がっていますが、それ以上に所得が上がっています。日本の場合、現在は所得はそのままで物価が上がっている状態。
ただ、ロシア・ウクライナ戦争以降は欧米でもかなり強烈なインフレが発生しているようなので、対策が進められています。
※あと、日本の大卒と海外の大卒では「卒業時」に働き手としてのレベルが圧倒的に異なるってのもの一つあります。多分、日本の学生が海外で働こうとしても、レベルが低くて使い物にならないって落とされる可能性あります。
GDP比較
引用:IT Media/成長しない日本のGDP、停滞の20年で米国は日本の4倍、中国は3倍の規模に
日本のこの成長率。
同じくらいの国を探してみると、内戦やってる国と同じくらいの成長率なんですよね。
つまり、主に自民党・公明党(加えて一時期のみ民主党)のやってきた政治・経済対策は極端な話、「政治を何もしていないレベル」だったってことになるワケです。
本気で無能なのか、ワザとやってるのか・・・どう思いますこれ?
じゃぁ野党にお願いしよう!
でもね、「批判ばかり!」と揶揄される反自民系の野党も結局のところ、社会的に目立つ要所では自民党案に反対しつつ、大多数の法案には賛成出してるんですよね。
これで、「自民党の政策は~」と言っているワケなので、野党もどこまで信用できたものかわからんのです。
※先日、立憲民主党の泉代表が「私たちは批判ばかりと言われているが、前国会では法案の8割くらいには賛成している!批判ばかりではなく、是々非々なんだ」と自白されていましたよ。
過去の法案成立に関する、野党の支持・不支持の一覧とかあれば見てみたいですね。
これが、この国の政治の現状です。
でも、その政治家を選んだのは国民なので、政治家だけの責任じゃなく、政治やこういう国の現状にそっぽ向いてる国民の責任がとても大きいんです。民主主義とはそういうもの。
ワタシも本格的に勉強し始めたのはここ数年なので偉そうなことは言えません。気付いた者として、自戒の念を込めて発信です。
じゃ、どうやってお金をひねり出すか?
国として何かの対策を行うとき、必ず必要になるお金ですが、近年は税収に加え、足らない予算を国債発行で補うことを続けています。
この結果、「日本は借金大国」「このままでは国が破綻する!」と言われて久しいですよね。
テレビなどでもこういった論調が主流となっているようですし、それを基に政策を出している野党勢力もありますが、実は、テレビに出ない(と言うより出させてもらえない)政治家・言論人・経済学者の世界では、財政政策論については色々と方法が提案されています。なので、保守側と一部のリベラル側ではもう結構、財政出動ができることは当たり前の基礎知識みたいになってきているのですよ。
どんな方法があるのか?
現行の考え方含め、ワタシの把握している限り財政政策の考え方については次の3つの主張が存在しています。
1.「緊縮財政派」
主に主張している勢力:自民党の現政権
現在の主流派です。長いこと話を聞いている限りでは財務省が主体となっており、財務省の説明に納得した政治家や経済学者、言論人、ジャーナリスト、報道機関などが広めています。
「日本にお金ない!」とか「増税は仕方ない」と言っているのがこのグループで、このグループが行う政策は、ポイント還元とか一時的な国民・企業への貸し付けなど非常にショボイものが多いです。
ただし、自分たちの利権につながる分野については惜しみなく投資します。
このグループが提唱する財政再建案は、「プライマリーバランス堅持」「増税」「支出の削減」が主ですかね。・・・これ、国民にお金を回すって発想が全くありません。国の財政を安定させることが最優先という考え方です。
現政権が唱えているのは、コレです。
わかります?これ、実質的に「増税」か、「公共サービスや社会保障の削減」しか財源確保の道しか解決策無いんですよ。
ちなみにですが、何かの補助金を増やした・・・と思えば、どこかを減らして回収しに走りますし、仲の良い利権団体に蒔いた(であろう)お金はそのまま「使途不明」として消えてゆきます。
不思議ですね。コロナ危機で国民や企業に支給したお金に関する不正受給は摘発しまくれる(これはやる方がダメですけど)。飲食店などに対して給付した支援金は事業収益として計算され、バッチリ課税対象。社会保険料の支払いが数日遅れただけで支払い督促状が送られてくる。でも、10兆円からの予備費が消えたことについては「後を追えない」。
国が使うお金は使途不明・・・
毎日新聞:不透明なコロナ支出 ワクチンや病床確保に16兆円、さらに膨らむ恐れ
日経新聞:「予備費」12兆円、使途9割追えず〈国費解剖〉
給付金詐欺の摘発件数、3800人はキッチリ追えてる
産経新聞:コロナ給付金詐欺摘発7割は20代以下 目立つSNS拡散
不思議ですねー。
2.「徴税分配派」(最低時給アップも含む)
主に主張している勢力:日本維新の会・共産党・立憲民主党・社民党・公明党など
※財源確保の案がハッキリしない政党もあるのでとっと自信無しです。ただ、上記政党内にも個別の議員さんを探っていくと、積極財政を推進している方もおられるようです。
これはどちらかと言うと、緊縮財政派の主張を基にしたうえでの税制改革案を掲げている勢力ですね。
「高額所得者・大企業への大幅課税強化」「大企業の内部留保への課税」「議員報酬削減」「消費税撤廃」「インボイス廃止」「防衛力強化反対」「身を切る改革」など税制構造を改革していく案を主張される場合が多いように見えます。
このあたりの主張はもっと個別に勉強・情報収集が必要だなぁ~。
3.「積極財政派」
主に主張している勢力:自民党の積極財政派・国民民主党・れいわ新選組(もかな?)・参政党・その他保守系諸派
プライマリーバランスにこだわらずに財政出動をする方法や消費税・インボイス廃止のほか、様々な方法でお金を作り出し、経済対策に使っていこうという考え方です。
素直に国債発行してよいと唱えている人や、国債改革(教育国債の発行や永久国債化等)・MMT(現代貨幣理論/国の借金は国民の所得)・MMP(松田学プラン/国債のデジタル円への変換)などがあります。
一応、これらの財政政策は反対派からはボロッカスに叩かれているのですが、国会で本格的に議論されているわけではなく、在野でヤイヤイ論争していることがほとんどなので、政策決定の場で本格的に議論してみて欲しいです。
国民民主と・・・政策論には出されていないようですが、れいわ新選組もそっち方面の論説を唱えている経済学者さんと対談されていたりします。
この2党は富裕層・大企業からの課税増も共通していましたっけ。
それぞれ保守とリベラルの政党ですが、この辺は少し近い印象がありますね。
ちなみに、借金まみれなのに、また借金(国債)増やして大丈夫?と言う疑問に対してですが、上述で財務省が「借金大国!」と説明している反面、別の所でこんな説明もしています。
真逆の事を説明する財務省
参考資料:財務省:外国格付け会社宛意見書要旨
内容要約:外国の格付け会社が日本国債の格付けランクを落とした(日本国債の信用度を下げた)ことについてあてた意見書。
日本は貯蓄金額(国民の預貯金や企業の内部留保)が半端なくあり、国債は国内(日銀や日本人)が買っていて低金利で運用されているので、メチャメチャ安心。
さらに、他国にお金貸してる世界最大の国であり、外貨準備(円以外の通貨の保有額)も世界最高。
ゆえに、財政破綻はありえないので国債の格付けを落としたことは大変遺憾。
・・・と説明しております。
国債の信用が落ちるってことは、財政破綻などで貸し付けたお金が返ってこない可能性が上がったってことなのですが、それに対して真っ向から反対意見を述べています。
つまり、「日本の財政破綻はまだまだない」と言う結論。
国民に説明されている内容とは真逆ですねー。
さて、真実はどっちなのでしょうか?
また、日本の対外純資産(外国に持っている日本の資産)は昨年末で過去最大の411兆円。
こっちについては何故か、あまり触れられないし、無視されがちなのですよね~。
さて、あなたはどの方針が良いと思いますか?
ちなみに、下記にていくつか積極財政派系の動画をご紹介。
一応、これらに対して真っ向から反対する意見もあるということも申し上げておきますが、参考までにどうぞ。
2022/7/6:財政出動についての動画:MMT論の学者・三橋貴明+原口議員(立憲民主)+たがや議員(れいわ)の緊急対談
2020/5/2:藤井聡 京都大学教授(元内閣官房参与)/MMT国際シンポジウム講演
普段の口はメチャクチャ悪い(関西人受けする口の悪さ)ですが、面白い先生です。
2021/4/4:山本太郎 れいわ新選組代表(元タレント・俳優)/財政論3部作パート1
やり方はちょっとアレですが、ちょっと応援しております。ちなみに財政政策の方向性は、上述のMMTを採用しています。
2021/2/23:西田昌司 参議院議員(自民党・安倍派)/同政党の高市氏・茂木氏をバッサリ
自民党内で奮闘中。インボイスについてもなんとか止めようとされてます。
松田学氏 MPI代表・参政党共同代表(元衆議院議員・元財務省官僚)/MMP(松田学プラン)についての説明その1
今回の参議院選挙で参政党から出馬。このプランが本当に財務省も乗れるプランなら、ウルトラSの財政出動が可能になります。
青山繁晴 参議院議員(自民党・無派閥)/自民党内で消費税撤廃・自民党批判を展開
非主流派ですが、無視できない影響力を持っているので、自民党党としても追い出せず。
※この方は今回の選挙で比例出馬されています。
財政政策についての個人的結論
まず立場を明確にしておくと、ワタシは積極財政派です。
ただ、積極財政派の掲げる財政政策論についてはロジックが難しくてワタシの頭では完全に理解できませんし、まだ本格的に国会で議論されているワケではないので、実現性については不透明なところがあります。
なので、これらの財政政策論が国政の場で本格的な議題にあがり、「本当に可能か?」を検証して欲しいと考えていますので、応援しております。
ちなみに、徴税分配については一部賛成なのですが、大企業課税強化・富裕層課税強化はやり過ぎると、連中は海外へ移転・移住してしまったり、企業価値が落ちて今以上に外資の食い物にされるので、残念ながら業界との綿密な調整が必要。
また、内部留保課税を許してしまうと、恐らく財務省は「個人資産課税も・・・」って案をだしてくると予想されます。彼らにこの免罪符を渡すわけにはいきませんのでこれにも反対。これについては現政権がやってる「給与支出を増やした企業の法人税を減税」って案には賛成してます。(赤字会社へは恩恵がないので、これはこれで経済対策が必要)
最低自給1500円についても現段階では反対。これすると多分、現在の状態だと経営者の選択肢としては、設備投資や業務自動化からのパート切り・直接雇用から人材派遣への切り替え・体力のない中小企業倒産からの大企業への雇用or人材派遣業への人材流入・就労者の平均所得は向上するが、失業率の悪化+インフレ加速(貧困拡大)が予測されます。
ちなみに、ワタシの取引先企業ですが、2年ほど前に設備投資してパート8人切って業務効率・収益が大幅改善した!って喜んでいるところありましたよ。
なので、外国人就労者のこれ以上の受け入れ停止と、経済状態を上向きにさせることを優先させたいです。
積極財政にする必要があると考える理由
これは、いち経営者としての感覚なのですが、現状の日本は最低限の予算で国を維持しているだけており、支出した予算は利権が絡む業界や外資へ垂れ流しになっている状態です。
逆に、農林水産や半導体、教育や貧困対策などについては予算がほとんど回されていません。
この状態だと国の屋台骨がガタガタになっていくだけなので、何やっても成長できません。と言うより、長期計画で成長できないような政策ばかりなので、ジリ貧状態を継続しながら、お金持ちな方々だけが得をして、国民は段々弱っていくしかありません。
なので、この状態からまずは、外資に出ていく分をなんとか少なくし、国内産業(特に屋台骨になる産業)に補助金出して国内産業を活気づかせて国民にお金が回る状態に持っていく必要があります。
そのためには減税に加え、減った分の財政を借金(国債)や通貨発行で補完し、さらに国の弱った分野に積極的に投資。
これを、国債の発行増減なしくらいの気持ちで各業界の状態が改善し、景気全体が回復するまで徹底して続けるしかないと考えています。
※一番怖いのは円の通貨崩壊(ハイパーインフレ)や他国からの嫌がらせ(中国だけとは限りませんよ)とのバランス感なので、そこは注意が必要。
このため、積極財政を支持します。
コメント